中央公契連統一様式や技術者経歴書を見ていると、「このExcelも自動で埋められるのではないか」と考えたくなります。
会社情報、技術者情報、資格情報、実績情報などは、社内の台帳や過去申請書類にあることが多いからです。
実際、帳票の一部は自動化と相性があります。
ただし、中央公契連統一様式や入札参加資格申請書類を、丸ごと自動入力の対象として見るのは危険です。
これらの書類には、単純な転記項目だけでなく、申請要領に基づいて会社が確認し、判断する項目が含まれるためです。
この記事では、中央公契連統一様式の自動化を考えるときに、機械で扱いやすい部分と、人が確認した方がよい部分を分けて整理します。
自動化できそうに見える理由
中央公契連統一様式は、Excelファイルとして扱われることがあります。
Excelであれば、セル位置を決めて、社内台帳から値を流し込むことは技術的には可能です。
たとえば、次のような項目は、元データがきちんと整っていれば処理しやすい部分です。
- 会社名
- 所在地
- 電話番号
- 担当者名
- 技術者名
- 資格名
- 登録番号
- 取得年月日
- 過去に整理済みの実績情報
これらは、帳票のセル番地が固定されていて、入力ルールも明確で、元データが正しい場合には、機械的な転記の候補になります。
しかし、ここで注意したいのは、「転記できること」と「申請書類として正しいこと」は別だという点です。
自動化に向くのは確定情報の転記
帳票自動化が向いているのは、すでに人間が確認済みの確定情報を、決まった場所へ入れる処理です。
たとえば、次のような状態なら自動化しやすくなります。
- 入力元の台帳が最新である
- 記入対象者が確定している
- 資格名や登録番号の表記が統一されている
- 様式のセル位置が固定されている
- 提出先ごとの追加様式が整理されている
- 人間が確認する前提で一覧を出せる
この場合、ツールの役割は、面倒な転記や抜け漏れ確認を補助することです。
入力そのものを代行するというより、人間が確認しやすい形に整えると考えた方が安全です。
人が判断した方がよい項目
一方で、中央公契連統一様式や技術者経歴書には、人が判断した方がよい項目があります。
たとえば、次のような内容です。
- 技術者の記載対象範囲
- 実務経験の扱い
- 技術分野の分類
- 営業年数の整理
- 外資状況など会社区分に関する記載
- 過去実績をどの範囲で記載するか
- 提出先の記入要領に照らした可否
これらは、元データがあれば自動で決まるとは限りません。
申請要領、会社の実態、過年度の申請内容、提出先の求める形式を確認して判断する必要があります。
ここをツールで自動判定しようとすると、誤入力や誤申請に近いリスクが出ます。
技術者経歴書は特に注意したい
技術者経歴書は、自動化したくなる代表的な様式です。
技術者台帳、資格台帳、経歴データがあれば、Excelに流し込めそうに見えます。
しかし、実際には次のような確認が必要になります。
- その技術者を記載対象に含めてよいか
- 所属情報は現在の内容になっているか
- 退職者や異動者が混じっていないか
- 資格情報は有効か
- 経歴の書き方が提出先の意図に合っているか
- 記入欄の制限に収まるか
これらは、単にデータを持っているだけでは解決しません。
むしろ、古い台帳をそのまま自動転記すると、誤った情報を整った形で出力してしまう危険があります。
自動化より先に確認表を作る考え方
中央公契連統一様式のような申請書類では、いきなり完成様式へ自動入力するより、確認表を作る方が現実的です。
たとえば、次のような確認表です。
- 技術者一覧の候補表
- 資格情報の空欄チェック表
- 所属変更候補の確認表
- 退職者混入の確認表
- 実務経験の記載候補表
- 様式ごとの不足項目一覧
このような確認表であれば、ツールは候補を並べるだけです。
最終的な採否や記入内容は、人間が確認します。
この設計の方が、実務上の責任境界が明確になります。
何でも自動化しないことも技術判断
帳票自動化というと、できるだけ多くの項目を自動入力することが良いように見えます。
しかし、申請書類では逆の判断が必要になることがあります。
自動化してよい項目と、確認を残した方がよい項目を分けることも技術判断です。
特に、中央公契連統一様式のように、発注機関、申請年度、業種区分、記入要領によって扱いが変わる書類では、人間確認を外さない設計が重要です。
ツールは便利ですが、申請内容の責任を引き受けるものではありません。
Doc-IO-Toolsとの関係
維持DXでは、Doc-IO-ToolsというExcelとWord帳票の入出力支援ツールを公開しています。
これは、Excel一覧表からWord帳票を作成したり、指定Word様式からExcel一覧表へ取り込んだりする考え方を示すための小型ツールです。
ただし、中央公契連統一様式や技術者経歴書を専用に自動作成するツールではありません。
この種の申請書類については、帳票処理の技術よりも、どの項目を自動化してよいか、どの項目に人間判断を残すかの整理が先になります。
維持DXとしては、何でも自動化するより、誤入力のリスクがある部分を見極める方を重視しています。
実務的には三つに分けると扱いやすい
中央公契連統一様式の自動化を考えるときは、項目を一律に見るより、三つに分けると整理しやすくなります。
一つ目は、機械的に転記しやすい項目です。会社名、所在地、電話番号、担当者名など、元データが固定されていて、様式上の位置も決まっているものです。
二つ目は、転記はできるが確認が必要な項目です。技術者名、資格名、登録番号、所属、取得年月日などは、台帳が整っていれば転記できます。ただし、台帳の鮮度、資格の有効性、退職・異動の反映状況を確認する必要があります。
三つ目は、ツールで決めない方がよい項目です。記載対象者の範囲、実務経験の扱い、営業年数、外資状況、提出先の記入要領に関係する判断などです。
この三分類にしておくと、ツール化の範囲が明確になります。
自動化するのは一つ目を中心にする。二つ目は確認表を出す。三つ目は人間が判断する。
この線引きがあると、便利さと安全性のバランスが取りやすくなります。
まとめ
中央公契連統一様式は、Excelで扱えるため、自動化できそうに見えます。
しかし、入札参加資格申請書類は、単なる転記帳票ではありません。
技術者経歴書、会社情報、営業年数、資格、実績、提出先ごとの追加様式など、会社として確認し、判断する要素が含まれます。
自動化に向くのは、確認済みの確定情報を、決まった位置へ転記する部分です。
一方で、申請要領に基づく判断、対象者の範囲、経験や区分の整理は、人間確認を残した方が安全です。
帳票自動化では、できることを増やすだけでなく、あえて自動化しない範囲を決めることも重要です。
参考にした公的情報:国土交通省中部地方整備局「競争参加資格審査Q&A(測量・建設コンサルタント等業務)」Q3
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