Excel VBAでThisWorkbookとActiveWorkbookは何が違うのか
Excel VBAを書いていると、
ThisWorkbook
と
ActiveWorkbook
という書き方が出てきます。
どちらもExcelブックを指しているように見えますが、
意味はかなり違います。
この違いを理解しないまま使うと、
意図しない別ブックへ書き込んでしまうことがあります。
特に、
他人に配布するExcelマクロや、
業務用Excelツールでは注意が必要です。
結論:実務配布用ならThisWorkbookが無難
まず結論です。
ThisWorkbook は、
マクロが書かれているブック
を指します。
ActiveWorkbook は、
現在アクティブになっているブック
を指します。
自分だけが使う簡単なマクロなら、
ActiveWorkbook でも動くことはあります。
しかし、
実務配布用のExcelツールでは、
処理対象がブレにくい
ThisWorkbook
を基本にする方が安全です。
ThisWorkbookとActiveWorkbookの違い
| 書き方 | 指すもの | 向いている場面 | 注意点 | 実務配布でのおすすめ度 |
|---|---|---|---|---|
| ThisWorkbook | マクロが書かれているブック | ツール本体のシートを操作する場合 | 別ブックを処理したい場合には向かない | ◎ |
| ActiveWorkbook | 現在アクティブなブック | ユーザーが前面にしているブックを処理したい場合 | 別ブックがアクティブだと誤操作しやすい | △ |
ポイントは、
どのブックを操作したいのか
です。
ツール本体の設定シートやログシートを操作したいなら、
ThisWorkbook が分かりやすいです。
一方で、
ユーザーが開いている別ブックを処理したい場合は、
ActiveWorkbook を使う場面もあります。
ThisWorkbookとは
ThisWorkbook は、
マクロが保存されているブックを指します。
例えば、
tool.xlsm
というマクロ付きブックにコードを書いている場合、
そのコード内の ThisWorkbook は、
基本的に tool.xlsm を指します。
そのため、
- メニューシート
- 設定シート
- エラーログ
- 入力用シート
- 出力管理シート
など、
ツール本体の中にあるシートを操作するときに向いています。
配布用Excelツールでは、
処理対象がブレにくいのが大きな利点です。
ActiveWorkbookとは
ActiveWorkbook は、
現在アクティブになっているブックを指します。
つまり、
画面上で前面に出ているブックです。
ユーザーが別のExcelファイルをクリックして、
そちらがアクティブになっていれば、
ActiveWorkbook はその別ファイルを指します。
この性質は便利な場合もあります。
例えば、
ユーザーが開いた任意のブックを処理したい場合です。
ただし、
複数ブックを開いている実務環境では、
意図しないブックを操作する原因にもなります。
ActiveWorkbookで起きやすい事故
ActiveWorkbook を安易に使うと、
次のような事故が起きることがあります。
- マクロ付きブックではなく、別のExcelファイルへ書き込んでしまう
- 処理中に別ブックを開いて対象が変わる
- ユーザーの操作状態に依存する
- 自分のPCでは再現しない
- 他人のPCでだけ事故る
特に危ないのは、
作った本人はいつも同じ手順で使っているため、
問題に気づきにくいことです。
しかし配布先では、
利用者がどのブックを開いているか分かりません。
そのため、
ActiveWorkbook に依存したコードは、
思わぬブック誤操作につながることがあります。
コピペで試せる確認用コード
次のコードは、
ThisWorkbook と ActiveWorkbook の違いを確認するためのサンプルです。
このコードは、
標準モジュールに貼って、テスト用のxlsmで実行してください。
ご注意
以下のVBAコードは、動作イメージを確認するためのサンプルです。
実行前に必ずExcelファイルのバックアップを作成してください。
業務で使用しているファイルに、いきなり貼り付けて実行しないでください。
Excelのバージョンや設定により、動作が異なる場合があります。
Sub CheckWorkbookDifference()
Range("A1").Value = "ThisWorkbook: " & ThisWorkbook.Name
Range("A2").Value = "ActiveWorkbook: " & ActiveWorkbook.Name
MsgBox "ThisWorkbook: " & ThisWorkbook.Name & vbCrLf & _
"ActiveWorkbook: " & ActiveWorkbook.Name, vbInformation
End Sub
このコードを実行すると、
A1セルに ThisWorkbook の名前、
A2セルに ActiveWorkbook の名前が表示されます。
同じブックがアクティブな状態なら、
同じ名前になることがあります。
しかし、
複数のExcelブックを開き、
別ブックをアクティブにした状態で実行すると、
違いが分かりやすくなります。
実務配布ではThisWorkbookを基本にする理由
実務配布用のExcelツールでは、
利用者がどのようにExcelを開くか分かりません。
- 他のExcelファイルを開いている
- 複数ブックを並べて作業している
- 作業中に別ファイルをクリックする
- 途中で別ブックを開く
- Excelの使い方が人によって違う
こうした状況では、
ActiveWorkbook に頼ると、
処理対象がブレる可能性があります。
一方で、
ThisWorkbook は、
マクロが入っているブックを指すため、
ツール本体内の処理では安定しやすいです。
メニューシート、
設定シート、
入力シート、
ログシートなどを操作するなら、
ThisWorkbook.Worksheets("シート名")
のように書く方が安全です。
ActiveWorkbookを使ってよい場面
ActiveWorkbook を完全に使ってはいけないわけではありません。
使ってよい場面もあります。
例えば、
- ユーザーが開いた任意のブックを処理したい場合
- ファイル選択後に、そのブックを処理対象として扱う場合
- 一時的な確認用マクロ
- 自分だけが使う簡単な作業マクロ
などです。
ただし、
その場合でも、
処理前に対象ブック名を確認するなど、
安全策を入れた方がよいです。
例えば、
「このブックを処理しますか?」
と確認するだけでも、
誤操作のリスクは下がります。
おすすめの書き方
実務用のVBAでは、
処理対象を最初に変数へ入れておくと分かりやすくなります。
例えば、
ツール本体を処理するなら、
次のように書きます。
Sub SampleUseThisWorkbook()
Dim wb As Workbook
Dim ws As Worksheet
Set wb = ThisWorkbook
Set ws = wb.Worksheets("Sheet1")
ws.Range("A1").Value = "ThisWorkbookを基準に処理しています"
End Sub
このようにすると、
どのブック、
どのシートを操作しているのかが明確になります。
ActiveWorkbook をコード内で何度も直接書くより、
最初に対象ブックを決めて、
wb や ws のような変数で扱う方が安全です。
ActiveWorkbookを使うなら意図を明確にする
ActiveWorkbook を使う場合は、
「なぜActiveWorkbookなのか」
を明確にしておくことが重要です。
例えば、
ユーザーが選択したブックを処理したい場合は、
ファイル選択後にそのブックを変数へ入れます。
その上で、
以降の処理では変数を使います。
Sub SampleUseActiveWorkbookCarefully()
Dim wb As Workbook
Set wb = ActiveWorkbook
MsgBox "処理対象ブック: " & wb.Name, vbInformation
End Sub
このように、
対象ブックを明示しておけば、
コードを読む人にも意図が伝わりやすくなります。
ただし、
配布用ツールで無条件に ActiveWorkbook を使うのは避けた方が無難です。
まとめ
ThisWorkbook と ActiveWorkbook は、
どちらもブックを扱うための書き方ですが、
意味は違います。
ThisWorkbook は、
マクロが入っているブック
です。
ActiveWorkbook は、
現在アクティブなブック
です。
実務配布用のExcelツールでは、
処理対象がブレにくい
ThisWorkbook
を基本にする方が安全です。
ActiveWorkbook を使う場合は、
ユーザーが開いた別ブックを処理したい場合など、
意図を明確にする必要があります。
迷ったら、
まず ThisWorkbook を使い、
必要に応じて対象ブックを変数で管理するのがおすすめです。
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