橋梁点検システムを導入してもExcel地獄が消えない理由
橋梁点検のDX化は年々進んでいます。
クラウド管理、 橋梁点検システム、 AI診断、 Viewer、 損傷データベース。
以前と比べれば、現場入力や情報共有は確実に進歩しています。
しかし実務担当者であれば、一度はこう思ったことがあるのではないでしょうか。
結局最後はExcelじゃないか。
実はこの現象は珍しいものではありません。
そして問題は、 橋梁点検システムが悪いわけではありません。
橋梁点検システムは本来優秀
まず誤解してほしくないのは、
橋梁点検システムには大きな価値があります。
例えば、
- 点検結果の蓄積
- 損傷履歴管理
- 写真管理
- クラウド共有
- AI診断支援
- 調書出力
などです。
特に現場調査やデータ管理の効率化においては非常に有効です。
実際、多くの自治体や建設コンサルタントで利用されています。
問題は「提出前変更」で発生する
本当の問題は、
提出前の修正作業です。
橋梁点検業務では、
- 技術審査
- 社内チェック
- 発注者協議
などを経て、
提出直前に評価やコメントが修正されることがあります。
例えば、
- 損傷番号変更
- 判定変更
- コメント修正
- 写真差し替え
- 写真番号変更
などです。
ここから地獄が始まります。
修正は1箇所で終わらない
橋梁点検成果では、
1つの情報が複数箇所に存在します。
例えば損傷番号なら、
- 点検調書
- 写真帳
- 一覧表
- CAD損傷図
- PDF成果
- Viewer
- Excel管理表
などです。
そのため、
写真番号を1つ変更しただけでも、
複数成果物を修正しなければなりません。
問題は修正そのものではありません。
修正漏れです。
DX化すると確認作業が増えることもある
意外かもしれませんが、
DX化すると確認作業が増える場合があります。
理由は単純です。
出力先が増えるからです。
例えば、
- システム
- Excel
- CSV
- Viewer
- CAD
- 調書
が存在すると、
最後に人間が
「全部一致しているか」
を確認する必要があります。
つまり、
入力作業は減ったが、
整合確認作業は残る。
という状況が発生します。
本当に怖いのは整合崩壊
実務で問題になるのは、
修正作業そのものではありません。
整合崩壊です。
例えば、
- 写真番号だけ旧版
- コメントだけ修正漏れ
- CADだけ旧情報
- 一覧表だけ未更新
という状態です。
提出後に発覚すると、
差し替えや説明対応が必要になります。
現場担当者にとっては非常に神経を使う作業です。
AI診断より先に必要なもの
最近はAI診断や自動判定が注目されています。
もちろん有用な技術です。
しかし実務では、
診断より先に必要なことがあります。
それは、
整合確認です。
例えば、
- 写真番号一致確認
- コメント一致確認
- 修正伝播確認
- 様式間整合確認
- 出力確認
などです。
実際には、
提出事故を防ぐ方が優先順位が高い場面も少なくありません。
維持DXが目指していること
維持DXでは、
橋梁点検システムを置き換えることを目指していません。
主戦場は、
- 提出前変更
- 修正伝播
- Excel整合
- 写真整合
- 成果整合
です。
巨大な統合システムを作るのではなく、
最後に残る実務摩擦を減らす。
そのために、
- 統合マスタ
- 修正伝播支援
- 整合確認支援
などの仕組みを検討しています。
まとめ
橋梁点検システムを導入しても、
最後にExcel作業が残ることは珍しくありません。
しかしそれは、
システムが悪いからではありません。
現実の業務では、
提出前変更によって、
複数成果物への修正伝播が発生するからです。
そして本当に大変なのは、
修正作業そのものではなく、
整合確認です。
今後の建設DXでは、
入力自動化だけでなく、
修正伝播と整合確認の効率化も重要なテーマになると考えています。


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